隣の空き地・空き家から越境した木や草の伐採に関するルールについて
- 最終更新日
- 2024年07月17日
- 記事番号
- P004075
越境した竹木の切り取りのルールについて
これまでは、隣接する空き地や空き家の竹木が境界を越えて自分の土地に侵食してきても、自分で伐採することはできず、その竹木が生えている土地所有者に切ってもらうか、訴えを起こして伐採を命ずる判決を得てから強制執行の手続きをとる必要がありました。
令和5年4月1日から民法の改正により、竹木が生えている土地所有者に伐採させる原則は維持しつつ、次のいずれかの場合には、竹木を越境された土地所有者自らが切り取ることが可能となりました。
(改正後民法第233条3項1号~3号)
(1) 竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき
(2)竹木の所有者を知ることができず、またはその所在を知ることができないとき
(3)急迫の事情があるとき
注)越境する竹木が数人の共有に属するときは、切除を求められた各共有者は、その枝を切り取ることができる(233条第2項)
催告してからどれくらいの期間待てばいい?
上記の「相当な期間」とは、枝を切除するために必要な時間的猶予を与える趣旨であり、事案によりますが、基本的には2週間程度と考えられます。
伐採した費用は請求できる?
枝木が越境して土地所有権を侵害していることや、土地所有者が枝を切り取ることにより枝木所有者が本来負っている枝の切除義務を免れることを踏まえて、基本的には枝木所有者に請求できると考えられます。(民法第703条、第709条)
枝木を切るために隣地に入ることはできる?
越境した枝木を切り取るのに必要な範囲で、隣地を使用することができます。(改正後民法第209条)
ただし、あらゆる所に立ち入りができるのではなく、枝を切るために必要な範囲で、かつ、隣接の所有者や現に隣地をしようしている人にとって損害が最も少ない日時、場所及び方法を選ぶ必要があります。
法律相談
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関連資料
「令和3年民法・不動産登記法改正、相続土地国庫帰属法のポイント」(法務省)より抜粋